NASの更新
現在使っているNASは、2009年製のNASなのですが、セキュリティ上、問題があることから、更新を検討しています。
具体的には、SMB1.0を使っている古いNASは、標準ではアクセスできなくなってきています。アップデートがあって、SMB2.0や3.0が使えるなら良いのですが、さすがにそこまでサポートされていません。Windows11の場合も、追加でSMB1.0を有効にしないといけませんが、セキュリティ上おすすめできません。理由は、以下にまとめてあります。
Raspberry Piなどで自作も検討したが、台湾勢が良い製品を出しているので検討することにします。国産勢は、拡張性やアプリの面で私のニーズに合わないため対象から外しました。
コストと利便性を考えましょう。自分が勉強したいなら自作(時間と労力がかかります)、自分が注力すべきはそこじゃない人はメーカー製が良いでしょう。
SMB1.0を使用しない方が良い理由
SMB1.0(Server Message Block version 1)を使用しない方が良い理由は主に以下のような理由によります。
- 開発・サポート終了
MicrosoftはSMBv1の開発やサポートを終了しており、推奨していません。これにより、セキュリティパッチやアップデートが提供されなくなり、既知の脆弱性に対する保護が得られません。 - セキュリティの脆弱性
SMBv1には多くの脆弱性があり、これらは悪意ある攻撃者に悪用されるリスクがあります。例えば、WannaCryランサムウェア攻撃はSMBv1の脆弱性を利用していました。 - 旧式のプロトコル
SMBv1は古く、より新しいバージョンのWindowsでは主要な使用例がないため、Windows 10では初期設定では無効になっています。 - パフォーマンスの問題
SMBv1はパフォーマンスが悪く、実装が複雑であるため、代替プロトコルと比較して非効率です。 - LMハッシュの問題
SMBv1は認証にLMハッシュを使用していましたが、これには多くのセキュリティ上の欠陥があり、パスワードの保護が不十分でした。 - ウイルス対策ソフトでは不十分
ウイルス対策ソフトは既知のウイルスに対してのみ保護を提供でき、新しい変種や未知の脆弱性を悪用する攻撃には対応できません。 - 広範囲な影響:
SMBv1の脆弱性はネットワーク上の他のシステムにも影響を与え、機密データの損失やランサムウェアによるデータ暗号化など、深刻な被害を引き起こす可能性があります。
これらの理由から、SMBv1は非常にリスクが高く、セキュリティが不十分であるとされ、使用を避けるべきです。代わりに、SMB2やSMB3など、より新しくセキュリティが強化されたプロトコルの使用が推奨されます。
話題のメーカー
QNAP
QNAP | 仕事と日々の生活の使用するデジタルファイルを完全に管理
QNAPのNASは多様な特徴と強みを持っています。まず、QNAPは2ベイから4ベイまでのモデルを含む、エントリーモデルから高機能モデルまでの幅広いラインナップを提供しており、ユーザーのニーズに合わせた選択が可能です。これらのNASは大容量ストレージとして機能し、便利で強力なデータ管理サービスを提供し、プライベートクラウドとしても使用できるため、月額費用が発生せず、自動バックアップが可能です。
QNAP NASのデバイスは、全体的に高性能でありながらコストパフォーマンスに優れているという評価があります。耐久性の高いハードドライブをサポートし、RAID1、RAID5、RAID6などの構成を用いることで、データの保守性と信頼性が高くなっています。さらに、豊富なラインナップにはラックマウント型やタワー型などがあり、導入の支援メニューも充実しています。
QNAPのNASソリューションは、ホームユーザーから企業やワークグループ向けの大規模なものまで、幅広いニーズに応じた製品を提供しています。これらはカスタマイズが可能で、エントリーモデルからエンタープライズモデルに至るまで、基本的に共通のオペレーティングシステムを使用しており、容量の増加にも対応しやすい設計になっています。
QNAPのNASはデータの保存にとどまらず、多彩な機能と拡張性を備えており、Wi-Fi NASとメッシュルーターを統合したホームクラウドソリューションも提供しています。これにより、デジタルライフスタイルの刷新が可能になります。最新のすべてのモデルは、AI写真管理アプリQuMagieに対応しており、ネットワークポートはギガビット接続が主流であることが指摘されています。
これらの特徴を総合すると、QNAPのNASは高い柔軟性、信頼性、拡張性を兼ね備えた製品と言えます。
Synology
Synology NASは以下の特徴があります。
- 集中管理とプライベートクラウド
データの保管、アクセス、バックアップ、共有を安全に行える集中型ストレージで、プライベートクラウドを構築できます。 - 拡張性
小規模なファイル量からペタバイトのデータまで対応でき、必要に応じてシステムを拡張可能です。 - データ同期
複数の拠点間でデータを同期し、最新のファイルを常にアクセス可能に保ちます。 - セキュリティ
ランサムウェア攻撃からデータを保護するバックアップとスナップショット技術を提供します。 - エンドポイント保護
PC、サーバー、仮想マシン、SaaSアプリケーションの継続性を保つ強力なバックアップスイートが含まれています。 - コラボレーションツール
メールサーバー、インスタントメッセージングアプリ、同時ドキュメント編集など、コラボレーションツールが搭載されています。 - ビデオ監視
複数のIPカメラと互換性のある包括的で直感的な監視ソリューションを提供します。 - 仮想化ストレージ
仮想マシン用のストレージとして、一般的な仮想化プラットフォームとの統合を容易にします。 - リモートアクセス
さまざまなプロトコルを介して遠隔地からNASにアクセス可能です。 - クラウドサービスの代替
Synology OfficeとDriveは、ドキュメント編集とファイル同期のためのGoogle DriveやMicrosoft 365などのクラウドサービスの代替として機能します。 - DiskStation Manager (DSM)
Synology NASの直感的なオペレーティングシステムで、ファイル管理、共有、バックアップなどのライセンスフリーのソリューションを含んでいます。
ASUSTOR
ASUSTOR 株式会社 | ASUS パーソナルクラウドストレージ| NAS(ネットワーク接続ストレージ)
ASUSTORは、ASUSとADATAの支援を受けて2011年に設立された比較的新しいNAS(ネットワークアタッチトストレージ)メーカーです。「ASUSTOR」という社名は「ASUS Storage」に由来し、ストレージソリューションに特化したASUSの技術と組み合わせを表しています。同社は、リーディングカンパニーを目指し、ASUS、Synology、Infortrend、QNAPなどで経験を積んだエンジニアを多く採用しています。
ASUSTORは市場のニーズに合わせて、シェアを確保するために競合他社とは異なる戦略を取っています。SynologyやQNAPから市場シェアを奪うことではなく、高い成長率を維持している世界的なNAS市場において、高性能な製品を提供することで新しい顧客層を開拓しようとしています。
製品に関しては、ASUSTORのNASデバイスは自由度の高さで知られており、100以上のアプリケーションを備えた機能拡張、USB 3.0サポート、全モデルにIntelプラットフォームを使用しており、高性能であることが特徴です。個人、家庭、ビジネス用途など様々なニーズに応じた製品を提供し、特に日本市場ではHDD容量の自由度や機能の多様性、省エネルギー性といった点で差別化を図っています。
特定の製品としては、LOCKERSTOR 4 (AS6604T)があります。これは4ベイタイプのNASキットで、Intel Celeron J4125プロセッサを搭載し、パワーユーザーや中小ビジネスユーザーを対象にしています。高速な有線LANポート(2.5GBASE-T×2)を備えており、既存の配線インフラを使用しながらアクセス速度を向上させることができます。
また、ASUSTORはユーザーエクスペリエンスにも重点を置いており、Webブラウザからの操作感を重視したインターフェースを提供しています。iTunesサーバーやフォトギャラリー、メディアプレイヤー、Dropboxとの連携アプリ、WordPress、監視カメラアプリなど、多様なアプリケーションが用意されていて、RubyやPerlなどの開発ツールもインストール可能です。
このように、技術的な専門知識と市場への戦略的アプローチ、ユーザー体験と性能に対する強い焦点を合わせることで、ASUSTORはNAS市場においてその地位を確立しています。
3社の比較
Synology、QNAP、ASUSTORの3社のNAS製品について、以下のような比較ができます。
Synologyはソフトウェアに大きく投資しており、直感的なGUIと豊富なアプリケーションを提供しますが、価格が高めでハードウェアのパワーは比較的低いです。
QNAPはハードウェアに注目した製品を展開し、イノベーションを重視しています。多様なハードウェアオプションと拡張性のあるソフトウェアを提供しますが、消費電力が高めでBTRFSやSHRのサポートがありません。
ASUSTORは価格とハードウェアのバランスが良く、ソフトウェアの使いやすさも向上しています。コストパフォーマンスに優れた10Gbeソリューションを提供していますが、ライバルに比べて「キラーアプリ」が不足している可能性があります。
各ブランドはそれぞれの強みと弱みがあり、Synologyはソフトウェア、QNAPはハードウェアとイノベーション、ASUSTORは価値とバランスに焦点を当てています。
3社の印象(個人の感想です)
いろいろと調べていった中で感じた印象は、SynologyはApple、QNAPはGoogle、ASUSTORはMicrosoftみたく感じました。Synologyは、セキュリティなど手堅くやっていてITに詳しくない人でも使いやすくまとめている印象でApple感がありました。QNAPは、技術優先で先進性が売りな印象でGoogle感を感じます。ASUSTORは、ASUSがついていることもあり安定感があるMicrosoft感を感じました。まあ、個人の感想だし、今時点の印象なので使い込んでいくと違った印象になるかも知れません。
SynologyのNASを導入することにしました
結果して導入することにしたのはSynologyのNASでした。DS223jという機種とSeagateのHDDです。
既存が1TB×2のRAID1だったので4TB×2だと4倍の容量です。ほぼ満杯だったのですが、これでしばらくは(2〜3年は)持つかなと思います。
選定の理由は、セキュリティが一番強固なようだったからです。それと情報量が一番多い印象だったためです。
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